泣いても笑っても

スーパーから出て、目の前でおばあさんが
いきなりポツンと立ち止まって、え?
具合が悪くなったのかと思い、自分は、

「どうかなさったのですか?」

声を掛けたら…

「いえいえ、自宅が目の前なのよ、ほら、あれ」

マンションを指さすおばあさん。

いや、家の話じゃなくって…

「それでね、今、一人暮らしで買い物へ来てたの」

…だから、そうじゃなくって。

「うちの息子、大工なのよ～、ペラペラペラ～」

・・・・あの?

この後、おばあさんの身の上話が五分程度続く。

「あらあら、すっかりお引止めしちゃったわねぇ」

・・・・・なんとなく確信犯。

ただ単に、おしゃべりがしたいだけ。
いや、おひとりだと寂しいのはわかるけれど、
相手がどこの馬の骨かもわかんないのに、
住んでいるところとか、身の上とか話しちゃダメでしょー。

いえ、自分はいいんですよ。
年配の方のお話を聞くことぐらい、かわいいものです。

アン


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